【今回のポイント】
- 計算間違いが判明したところから遡って差額を支払う
- 実際には、給与差額以外に、社会保険料や所得税の精算も必要
時間外手当の計算が半年間ほど間違っており、支払っていた給与額が法定の計算よりも低いことが判明しました。
この場合、給与額の不足が判明した時点で、不足額を遡って支払いする必要があります。
労働基準法第24条に「全額払の原則」があり、「賃金は、原則としてその全額を支払わなければならない」とされていますので、不足額を正しく計算し支払わなければいけません。
実務上では、不足額を精算する際に、雇用保険料や健康保険料など社会保険料の差額精算と、源泉所得税や住民税の精算処理も発生しますので、不足額の確定と合わせて保険料や所得税の処理もどのようにされるか検討が必要となります。
ちなみに労働基準法第115条により賃金の請求権は、給与の支払日より3年間とされていますので、最大で3年間の支払い義務が生じる可能性があります。
時間外手当の計算で間違えやすい点
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1日の所定労働時間が法定労働時間(8時間)以内であった時に、所定労働時間を超えたところから割増賃金を支払っていた
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所定労働時間を超えたところから法定労働時間までの労働時間は割増する必要がない -
深夜勤務(午後10時より翌午前5時まで)をした際の割増賃金を、実働時間に関わらず、1.5倍で計算していた
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深夜勤務に対する割増(25%)だけが必要
時間外手当の時間単価計算で間違えやすい点
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時間単価を計算するときに「基本給」だけで計算している
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原則として「通常の労働時間または労働日」に支払われるすべての賃金が対象となるが、「家族手当」「通勤手当」「別居手当」「子女教育手当」「住宅手当」「臨時に支払われる賃金」「1か月を超える期間ごとに支払われる賃金」は除いて計算してもよい。
ただし、住宅手当や家族手当を一律で支給しているようなケースは除く事ができない。
上記内容に関連する「給与計算アウトソーシング」ページもご覧ください。
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