3月22日 朝日新聞より
一部の社員を労働時間規制から外す「ホワイトカラー・エグゼンプション」について、今国会への法案提出が見送られたにもかかわらず、将来の導入に前向きな企業が4割を超すことが21日、朝日新聞社が実施した主要100社アンケートで分かりました。
労働時間の長さより成果に応じて処遇することなどが理由で、企業の関心の高さが浮き彫りになったようです。
将来、ホワイトカラー・エグゼンプションが導入された場合の対応について回答したのは86社。
そのうち36社(42%)が「前向きに検討したい」と答え、「導入する」の2社と合わせて積極派が44%を占めました。
「前向き」と答えた大日本印刷は「国際競争力の観点からも、より効率的で自立的な働き方を推進する必要がある」とし、可能性がある職種として「本社の中堅幹部層」などを挙げています。
住友商事は「時間では測れない付加価値創造に対する処遇という観点から有益」と答え、「(要件を満たす)すべての業務が対象となりうる」としています。
すかいらーくでは検討対象を店長業務とし、店長には人件費管理や勤務シフトの決定など、相当の裁量権があるためと説明しました。
「社員も納得感がある」(サービス)、「ワークライフバランスの推進につながる」(流通)など社員の利点を強調する回答も中にあり、対象となる職種候補は、「研究職、開発設計エンジニア、経営スタッフ」(ソニー)など開発や営業、企画系を挙げる企業が多かったようです。
導入について「その他」とした中には、年収などの具体的な要件をみて検討するとの回答もみられ、一方で「導入しない」(3%)、「導入の可能性は低い」(8%)と答えた企業もありました。
「可能性は低い」とするNTT西日本は「対象者の範囲や賃金の決定方法など、労使協議の対象が多岐に及び、難航が予想される」としています。
(以上、記事より)
本アンケート結果は、今国会での法案提出は見送られたものの、働く現場の実態とそぐわない点が多くなってきている現行の法律を、より実態に合わせた運用をしていきたいという企業の声が表れているように感じます。
業種や職種・雇用形態によっては時間管理での運用が適している場合もありますので、全業種・全職種に対してこの制度を適用しようとするのは問題があるのは勿論ですが、労働時間の長さだけで仕事の成果を図るのが難しいような職種であれば、むしろこの制度を適用した方が、働く社員も納得性が高まると考えています。
当初の議論の中心になった年収ベースでの限度や労働時間の長短だけではなく、企業規模や業態・職種など幅広く捉えた上で、どうやったら仕事の成果を正しく評価できるのかの面からも議論を進めてもらいたいものです。
人事・労務の知恵袋
- 雇用・定年 労働時間の規制外しに意欲的な企業が4割
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投稿日:2007/03/22
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