人事・労務の知恵袋

就業規則 労働トラブルが増え、就業規則の役割が重要になってきている

最近の労働情勢から就業規則の重要性を考えてみます。


●スペシャリスト、即戦力というものの。。。

就業環境での特徴として、雇用が多様化し個別化している傾向があります。

会社としてみれば、社内事情を理解しマネジメントが得意なゼネラリストは欲しいものの、各分野で活躍して欲しいスペシャリストも求めています。
それも即戦力として期待したいのです。

現実には、即戦力として活躍してくれる社員はめったになく、多くは実力を発揮してくれるまで一定期間を必要とします。

一定期間を必要とする場合、その間に、会社の期待度にもブレが出てきますし、社員の側も「こんなはずじゃなかった」「自分はもっと活躍できるはず」と不満が溜まってくることがあります。

こういった人材に会社が対応を誤ると、さまざまな問題を引き起こす危険性をはらんでいるのです。


●非正規社員の比率が高い

雇用形態が多様化する=正社員以外に、契約社員やアルバイト・パートの活用が増えてきます。

また最近では、育児休業後に短時間社員として勤務するなど、雇用形態以外にも働き方そのものが多様化してきています。

会社は人件費を調整する方法の一つとして、正社員以外の期間雇用者を活用し、業務の繁閑に応じて対応人数を調整したり、業務内容に応じて必要スキルを保有している人材を一定期間活用したりします。

期間雇用者の中には、正社員と同じか、または正社員以上に能力もあり実際に働いているケースもあります。
そうなると、期間雇用者であるという雇用の不安を抱えつつ、一方で正社員と同じ仕事をしているのに待遇に差があると、不満を抱える者が出てきたりします。

雇用形態の多様化が進むと、会社側としては、会社固有のスキルや知識の継承ができにくくなり、職場に一体感がなくなったり、社員の流動化が進み採用コストや教育コストがかさむという問題も生じてきます。


●企業内組合の現象、ユニオン加入の急激な増加

労働組合の推定組織率は、H22年度調査で18.5%と、前年横ばい、329組合減少と減少傾向が続いています。

一方パートタイム労働者の組合員数は年々増え続け、H22年度調査では72万人が加入し、組織率も5.6%となっています。

対して、労働者個人が自由に加盟できる、いわゆる「ユニオン」は増加傾向にあり、様々な業種・業態で組合が結成されています。

これらの動きから、従来のように会社と労働組合が団体交渉によって労働条件を決定するという、集団的労使関係のシステムが機能しなくなってきており、その結果として、労働者個人が、自身で様々な知識を得て、場合によってはユニオンへ加入し、果ては労働基準監督署へ訴え出ることにより、自分の労働条件を正常化・正当化しようとしているといえます。

これにプラスして、個別労働関係紛争解決促進法や労働審判法などを施行し、行政側も労働トラブル解決の場を整備し、スピーディーに解決しようとしています。

実際に行政の紛争解決手段の利用は増えており、H22年度の個別労働紛争相談件数で24万件、あっせん申請で6400件、労働審判は3400件の申し立てが行われています。


これらいずれの場面でも就業規則が必要となり、また就業規則の内容が問われているのです。



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投稿日:2012/04/03
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