メンタル不全で休職中の社員が休職期間満了を迎えるため、状況を確認しているが、電話・メール等いずれも連絡が取れない状況が続いている。
身元保証人とも連絡が取れず、このまま退職扱いとしていいのか困っているとの相談がありました。
多くの企業では、就業規則に休職に関する定めをしており、休職期間満了時に復職が適わない場合には、休職期間の満了をもって自然退職扱いとするとされています。
休職期間中も常時連絡がとれ、復職に向けての状況確認ができている状態であれば良いのですが、病状が思わしくなく連絡が取れないのか、単に会社とのコンタクトを拒否しているのかが分からない状況が続くと、扱いに苦慮してしまいます。
この場合、休職期間満了をもっての退職とできるのか、解雇となるのか、いずれも慎重に扱わなければいけません。
連絡がとれなくなってしまった場合の解雇の対応に関しては、就業規則の定めにより一定期間無断欠勤が続けば解雇は可能です。
ただし、この場合は、解雇の通知が本人に到達しなければ解雇の効力が生じません。
内容証明郵便等で解雇の通知を送り、受け取りがあれば問題ありませんが、居住し生活している形跡がない場合は「通知が本人に到達した」と確実に判断できる状況ではないため、後日、社員と連絡が取れる状況にあった際に、解雇の効力が問われる可能性があります。
本来であれば、簡易裁判所に申し立てをし、公告したことをもって到達とみなす手順を踏むべきなのですが、費用も当然ながら時間も相当程度かかってしまいます。
従い、現実的には、就業規則に「社員から連絡なく欠勤が●日を経過した際は退職とする。」といった自然退職の定めを入れておく事で対応するようにします。
この対象期間は、30日~60日で設定されるのが一般的です。
メンタル不全者が単身者の場合、病状によっては外出もままならず、外部との接触もできない状況になっている事があります。
今回のように家族等との連絡も取れないとなると、第三者の立会いの下で居住確認を行う必要性も出てきます。
休職期間中の状況について記録を残しながら、焦らずに対処する事が求められます。