働き方改革や長時間労働の抑制、プレミアムフライデーといった労働を取り巻く環境が大きく変わろうとしていますが、平成28年就労条件総合調査結果によれば、平成27年の年次有給休暇の平均取得日数8.8日、取得率は48.7%と、前年とほぼ同じ数値であり年次有給休暇が取得しやすくはなっていない状況です。
年次有給休暇取得を阻む要因は「終身雇用、年功型賃金といった日本型の雇用慣行」による「年次有給休暇取得に強く伴う罪悪感」「休めるのに休めない管理職」が挙げられます
第7回勤労生活に関する調査によれば、「組織との一体感」「終身雇用」「年功賃金」を支持する人の割合は、1999年の調査以来いずれも過去最高の水準となっています。
「組織との一体感」の重視は、個性よりも調和が重視され、チームの成果が重視されることにもなり、休暇を取得する上でも、チームへの配慮が求められることになります。
総合旅行サイトのエクスペディアの年次有給休暇・国際比較調査によれば、日本は年次有給休暇の取得率が世界ワースト1位であり、約6割の日本人が有給取得に罪悪感を感じています。
「終身雇用」や「年功賃金」の重視は、定年までの職場で少しでも波風を立てずに居心地良く仕事ができることを優先する心理につながり、職場の人間に過度に気を遣うようなります。特に、管理職ともなれば、「年功」で得た現在のポジションや給与水準を何とか維持し続けようとして、会社から評価に敏感となり、できるだけ会社を休まず働こうとする態度を示すようになります。
男性管理職の約3割が「昇進のためには、夏季・冬季休暇以外に年次有給休暇を取得できないのは仕方がない」という調査結果もでています。
平成29年度には、日本企業に多い勤続年数に応じた年功序列型賃金が社員のやる気を妨げる障壁になっているという理由から、能力や成果が賃金に反映される制度の導入で社員のやる気・生産性を上げることを目的とした助成金が予定されています。
人事評価制度の導入は、生産性・業績のアップだけではなく年次有給休暇の取得の促進にも効果がありそうです。
生産性アップ!業績アップ!の人事評価制度と評価制度に使える助成金
https://www.nari-sr.net/media/seminar/201702-03
参考)有給休暇取りづらい雰囲気を醸し出す「A級戦犯」の“腹の内”
http://president.jp/articles/-/21568