大阪高裁が2月15日、アルバイトに賞与(ボーナス)を支給しないのは違法とする判断を示しています。全面敗訴だった1審判決から1年あまり経ち、逆転勝訴に、訴えた女性や弁護団は「画期的」と歓迎し、企業などへの波及効果が予測されます。
2013年1月から学校法人・大阪医科大学(現・大阪医科薬科大学)でアルバイトの秘書としてフルタイムで勤務し、約30人の教授らを担当して一日中、スケジュール管理や来客対応、経理事務などに追われていたため、大阪市内で記者会見した女性は「実際に働いている状況をきちんと見てくれた」と述べ、安堵の表情を見せていたそうです。
仕事量は正職員である他の秘書より多いのに、年収は3分の1程度だったため、「秘書として同じ内容の仕事をしているのに、おかしい」と疑問が膨らみ、休職中の15年に提訴に踏み切っています。
昨年1月の大阪地裁では請求を全て退けられたが、今回は高裁レベルでは初めてとなる、賞与の格差を違法とする判決を勝ち取り、また夏期休暇などが認められないことも不合理と判断されています。
アルバイトや契約社員らの非正規労働者は2000万人を超え、全労働者の4割近くを占めていますが、非正規労働者に賞与を支給していない会社や法人は多く、他の同種訴訟でも大きな争点となってきています。「この判決をきっかけに、全国の非正規労働者が少しでも働きやすくなればうれしい。これまで頑張ってきて良かった」と、女性は笑顔を見せています。
この判決は、法人が正職員には一律の基準で賞与を支給していたことから、賞与が成績に連動した評価ではなく、働いたこと自体への対価と判断した。弁護団の河村学弁護士は「一律に賞与を支給している企業は多く、影響は大きい。この判断が定着すれば、多くの企業が運用を変えないといけないだろう」と指摘しています。
中小企業では、同一労働同一賃金含む法改正が2021年4月施行されます。一律に賞与を支給している企業は、運用面を検討していく必要がありそうです。
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