人事・労務の知恵袋

人事・労務 年次有給休暇の5日間取得義務化についての調査

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

エン・ジャパン社による年次有給休暇の5日間取得の義務化の是非についての調査によれば、73%の企業が「良いと思う」と回答しており、「有休取得は働く側の当然の権利だと思うので、取得しやすい状況になるのは良いことだと思う」「法律が施行されなければ休みがとれないような企業にとっては、組織体系や業務量の見直しにつながる良いタイミング」などの意見が出ています。

一方、「良いと思わない」と答えた企業からは「業務内容などが改善されないまま義務化されたところで、サービス残業などが増えるだけ」「病気の時などに使える有休が減ってしまう」といった声が挙がっています。

義務化にあたっての課題については、「人手不足」(65%)が最も多く、「業務量が人に偏っている」(60%)、「常に仕事量が多い」(36%)と次いでおり、業務をこなす人材をどう確保するかに頭を悩ませる企業が多いようです。

他にも「職場に有休を取得しづらい雰囲気がある」(27%)といった現状を懸念する企業や、「管理職のマネジメント不足」(30%)や「突発的な業務発生などにより、休暇を取得しにくい」(29%)といった問題を指摘する企業も3割近くいます。

具体的な対応ついては、「有給休暇の計画的取得」(83%)が最も多く、次いで「有給休暇取得のための周知・啓発」(81%)、「取得の低い社員に対し、個別に休暇取得を促す」(52%)と、社員に有給休暇を取得するよう呼び掛ける企業が多いことがわかりました。

働き方改革の取り組みに対する課題では、「管理職の強いコミットメント」に課題を感じている企業が半数以上いるという調査結果もあります。

日本人の年次有給休暇取得率は6年連続ワースト1位と言われていますが、同じ日本企業でも企業文化がグルーバル基準の会社においては、年次有給休暇の取得率は高いようです。

取得を呼びかけるだけでなく、情報や仕事を属人化しない仕組みや、職場の雰囲気づくりや、管理職に部下の年次有給休暇の取得率を人事評価に反映させるなど、戦略的に取得していく仕組みを検討するのも一考です。

人材育成から定着率向上につながる人事評価制度
https://www.nari-sr.net/media/seminar/201702-03

投稿日:2019/05/13
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