AI=人工知能を使って従業員の情報を分析し、人事や採用、退職予測などに活用する企業が増えており、思わぬプライバシーの侵害などにつながるリスクがあることから、大手企業など90社余りが参加して、人事情報を分析する技術の普及を進めている「ピープル・アナリティクス&HRテクノロジー協会」の理事会が、人事にAIを活用する際の具体的な注意点を盛り込んだガイドラインの案を取りまとめ、2019度中に正式に決定することになります。
AI技術の進歩により、プライバシーに関わる内容などが本人の知らないところで推測されてしまうリスクが指摘されており、ガイドラインの案では、AIなどを使って分析する際の原則として9つの項目を挙げています。
具体的には、従業員に対して分析を行っていることやその目的などをあらかじめ示すこと、分析によりプライバシーに関わる重要な情報などが推測される場合は本人に同意を得ること、それにデータの取り扱いに責任を持つ専門の役職を設けることなどが盛り込まれる予定です。
協会の理事で、策定に携わった慶応大学の山本教授は、「人工知能による個人データの分析について、初めて産業界として一定の考え方を示した点で重要な意義がある。指針が正式に決まれば資格制度を設けるなどして実効性を高めていきたい」と述べております。
AIを使った分析をめぐっては、就職情報サイト「リクナビ」を運営する会社が、就職活動中の学生の内定辞退率を予測し、同意を得ないまま企業に販売していたことが明らかになり、政府の個人情報保護委員会が2019年8月、情報の管理が不適切だったなどとして、勧告と指導を行われております。
今後のHRTechは、自動化・統合のフェーズから、人材活用や生産性向上のためのチームマネジメントなどのエンゲージメント・エンパワーメントを高めるフェーズに入っていくと予測されているため、本ガイドラインは重要な位置づけになるかもしれません。
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