人事・労務の知恵袋

人事・労務 4割が副業に容認姿勢

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

朝日新聞社が全国の主要100社に副業の取り組みを聞いたところ、「副業をすでに認めている」と答えたのは30社、「副業を認める予定、または認める方向で検討している」が7社、「副業は認めていないし、認める方向での検討もしていない」が21社と答えており、4割が容認姿勢であることが明らかになりました。

副業に前向きな企業からは、「専門能力が高く市場価値の高い人材は、副業を通じて技能や知見を磨いている」「社内外で通用する人材としての価値を高めていくため」と回答が挙げられています。

容認姿勢の企業に、副業も含めた労働時間の管理について聞いたところ、14社が「副業分は自社で管理していないし、その予定もない」と回答。「副業分も自社で合算して管理している、またはその予定」の4社を大きく上回っており、健康管理の課題も浮かび上がっています。

現行のルールでは、複数の先と雇用契約を結んだ場合、それぞれの雇用主は他社の分も含めて労働時間を通算して管理しなければなりませんが、他社で働いた時間までの「実態把握は実質的にできない」との見方が根強く、ある金融機関は「他社に雇用される形での副業を認めておらず、労働時間の通算は不要」と説明しており、副業を認めながら労働時間の合算管理に否定的な企業の多くは、副業の形をフリーランスや起業に限っている企業もあります。

副業に否定的な企業では、長時間労働への懸念や、機密情報の漏洩を心配する声も挙げられています。

厚生労働省は、副業・兼業を推進するため、これまでの「複数事業場の労働時間を通算する」としてきた労働基準法の規定を削除する案や、複数の勤め先があっても残業時間は会社ごとに出すため、労災認定のハードルが高いことから労災認定については複数事業場の労働時間を通算する案など、議論されています。

副業を認めるにあたり、申請許可制にするなど副業に関する規程を設ける企業も増えて来ております。

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投稿日:2019/12/16
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