経営コンサルティング事業を手掛ける識学社は、自社に人事評価の仕組みがあり自身が被評価者である全国のビジネスパーソンを対象に、「人事評価の“モヤモヤ”に関する調査」を行った。自社の人事評価に不満があると答えた人に、何に不満を感じるか聞いたところ、1位は「評価の基準が不明確」(48.3%)となり、評価基準が明確に設定されていないことが不満につながりやすいことがわかりました。
2017年のリクルートマネジメントソリューションズ社の「人事評価制度に関する意識調査」でも、2021年の同社の「テレワーク環境課における人事評価に関する意識調査」でも、不満足である理由として「何を頑張ったら評価されるのかがあいまいだから」が圧倒的に多く挙げられており、明確な評価基準の設定は、評価制度において重要になります。
また、リモートワークでの人事評価の具体的な不安では「何をもとに実績をはかっているか分からない」「互いに状況を見ることが困難で、信頼関係が築けているか分からない」といったコメントが挙げられており、出社していないことがマイナス評価になるのではないかと不安に感じたり、勤務状況が見えないことが不利に働くのではないかと考えたりする人が多くなります。
「あらかじめ設定した目標の達成度合いによって評価された場合」、「納得いくまで上司と話し合って目標設定した場合」「こまめな報連相や意識して成果をアウトプットするなどの部下からの働きかけがあった場合」は、評価の納得感が高まる傾向があるというリクルートマネジメントソリューションズ社の調査の分析結果もあります。
人事制度上の評価に関わらず、評価の在り方は、「評価者・評価方法の信用性」「評価者の技術・知識・基準」「納得できる評価の内容と方法」の3つが重要とされており、多くの人が評価の価値や尺度を共有することにより、評価そのものが持つ価値が高まるとされています。
人事評価も人が人を評価するものであり、評価者ごとの評価軸のズレも付いてまわります。明確な評価基準の設定や、日ごろの上司部下のコミュニケーションに加えて、評価実施前に、評価者研修などによって評価者の目線合わせをすることが、公平かつ公正な評価につながりやすくなります。
テレワークにも欠かせない人事評価の仕組みづくり