人事・労務の知恵袋

人事・労務 人事が考える45歳以上の中高年人材の課題

【執筆者】社会保険労務士法人スマイング コンサルティンググループ マネージャー 薄田 順矢

人事システムを展開するWorksHumanIntelligence社の調査では、人事担当が考える中高年人材(45~59歳までの正社員)の課題1位は「自律的なリスキル(学び直し)の必要性」であることがわかりました。
 
2位は「教育・研修、学びの場の少なさ」、3位は「キャリア支援の不足」となり、「50歳以上の方に対する教育研修の機会があまりない」「ライン管理職となっている者が多く、多忙のために自己研鑽の時間が取れない」「役職定年後の管理職のモチベーション維持が課題」など、管理職で忙しく学びの時間が取りにくいほか、そもそも研修の機会が少ないことなどが課題に挙げられています。
 
45歳以上の正社員に対してキャリア形成や学び直しのための研修制度が「ある」と回答した企業は23.2%にとどまっており、自律的なリスキルの必要性に課題を感じているものの、中高年人材向けの研修制度が用意されていない現状が見て取れます。
 
45歳以上の正社員が自ら仕事を選択できるようなキャリア制度が「ない」と答えた企業は75%に達し、キャリアの複線化制度も71.4%が「ない」と回答しており、若手社員に向けた社内公募やコース選択制度は浸透してきた一方、中高年人材自らがキャリアを選択する制度の導入は進んでいないことがうかがえます。
 
周囲の社員を巻き込む課題では、「スキルや知識、経験の継承」が最も多く、次いで「次世代の中高年層に対する打ち手」、「評価や昇格の年功化、中心化傾向」となり、中高年人材が培ってきたスキルや経験を継承していくような知識経営がされておらず、イノベーションにつながらないといった課題があるようです。
 
中高年人材のモチベーションを維持するために、役職定年者など向けに、人事評価制度上もシニア職(スキル等の継承などの役割)などの役割・職務を用意するケースもあります。
 
テレワークにも欠かせない人事評価の仕組みづくり

投稿日:2021/11/15
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