日本経済新聞より
AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、再発防止策を話し合う厚生労働省の有識者会議は29日、最終報告をまとめた。財政難の厚生年金基金が解散しやすくするのが柱。解散するときに、公的年金の積み立て不足を加入企業が連帯して国に返済する制度を廃止する。これまで先送りしてきた厚年基金改 革が動き出す。
最終報告は基金の深刻な財政問題と、ずさんさが明らかになった資産運用の両面から対策をまとめた。主に同業の中小企業が集まってつくる総合型基金が対象になる。厚労省は有識者会議の最終報告を受け、ことし夏に資産運用規制の省令や通知を改正する。連帯返済制度の廃止など法改正を伴うものは、来年の通常国会への法案提出に向け細部を詰める。
企業年金の一つである厚年基金は、公的年金である厚生年金の一部を国に代わって運用し、企業独自の年金を上乗せして給付している。長引く株価の低迷により4割の基金で、厚生年金部分で損失が出ている。厚労省は基金の現状に手を打たず、AIJ問題では高利回り運用で積み立て不足を挽回しようとする基金に被害が集中した。
財政悪化に苦しむ基金に限って、解散を促す。解散するときに国に返還が義務づけられている積立金は減額し、加入企業の負担を減らす。厚労相が解散命令を機動的に発動することも検討する。
積み立て不足を連帯して返済する制度は廃止する。いまは仮に基金の加入企業1社が倒産しても、その分は残った企業がかぶる仕組みで、返還金の支払いに耐えきれず、連鎖倒産を誘発するおそれがあった。ただ、返還金を減額した分や倒産企業の積み立て不足分は、厚生年金財政で穴埋めする形になり、企業やサラリーマン全体に影響が及ぶ。
資産運用規制では、分散投資を徹底する内容を盛り込んだ。一つの運用機関にかなりの資産を委託することを禁止する集中投資規制は、行政が一律の目標を課すのではなく、各基金がそれぞれの運用方針を明確にするのがのぞましいとした。外部の専門家が運用をチェックする体制も整える。
最終報告では、元会社員(OB)が受け取る年金の減額基準緩和や基金制度の廃止は、両論を併記する形で結論を先送りした。中小企業の資金を共同運用する案も結論が出なかった。厚労省は有識者会議が先送りした項目は今秋以降、審議会などで検討を続ける。
(以上、記事より)
ここにきて、ようやく厚生年金基金の解散に関する要件が緩和される動きが出てきました。
とはいえ基金を解散する際の積立不足分や、既に年金を受給している分・基金加入者だった加入員の将来受給する年金額を担保するための返還金減額のツケを、厚生年金保険の財源で穴埋めしようとするのは、厚生年金基金に加入していない多くの中小企業に負担を強いる事につながるわけで、これは論点が異なると感じます。
また解散基金の加入員だった人たちの年金額減額には触れていない点についても、単に既得権を確保しているだけで負担を強いるものにはなっていません。
国民年金・厚生年金も同様ですが、自分が払った・企業が積み立てた拠出金を運用上の不足額に穴埋めするのではなく、保険料や拠出金を払った分の年金額は最低限確保される仕組みにしていくべきで、払ってももらえないという認識が強くなっているのを払拭する制度にしていかない事には、何をやっても対処療法でしかないように思えてなりません。
今後の審議会での検討事項に注目したいところです。
企業年金や国民年金基金の制度のあらまし
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kigyounenkin.html
厚生年金基金の財政状況
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kousei/dl/01.pdf
確定拠出年金制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
確定給付企業年金制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/0102/tp0208-1a.html#top
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AIJ投資顧問による年金消失問題を受け、再発防止策を話し合う厚生労働省の有識者会議は29日、最終報告をまとめた。財政難の厚生年金基金が解散しやすくするのが柱。解散するときに、公的年金の積み立て不足を加入企業が連帯して国に返済する制度を廃止する。これまで先送りしてきた厚年基金改 革が動き出す。
最終報告は基金の深刻な財政問題と、ずさんさが明らかになった資産運用の両面から対策をまとめた。主に同業の中小企業が集まってつくる総合型基金が対象になる。厚労省は有識者会議の最終報告を受け、ことし夏に資産運用規制の省令や通知を改正する。連帯返済制度の廃止など法改正を伴うものは、来年の通常国会への法案提出に向け細部を詰める。
企業年金の一つである厚年基金は、公的年金である厚生年金の一部を国に代わって運用し、企業独自の年金を上乗せして給付している。長引く株価の低迷により4割の基金で、厚生年金部分で損失が出ている。厚労省は基金の現状に手を打たず、AIJ問題では高利回り運用で積み立て不足を挽回しようとする基金に被害が集中した。
財政悪化に苦しむ基金に限って、解散を促す。解散するときに国に返還が義務づけられている積立金は減額し、加入企業の負担を減らす。厚労相が解散命令を機動的に発動することも検討する。
積み立て不足を連帯して返済する制度は廃止する。いまは仮に基金の加入企業1社が倒産しても、その分は残った企業がかぶる仕組みで、返還金の支払いに耐えきれず、連鎖倒産を誘発するおそれがあった。ただ、返還金を減額した分や倒産企業の積み立て不足分は、厚生年金財政で穴埋めする形になり、企業やサラリーマン全体に影響が及ぶ。
資産運用規制では、分散投資を徹底する内容を盛り込んだ。一つの運用機関にかなりの資産を委託することを禁止する集中投資規制は、行政が一律の目標を課すのではなく、各基金がそれぞれの運用方針を明確にするのがのぞましいとした。外部の専門家が運用をチェックする体制も整える。
最終報告では、元会社員(OB)が受け取る年金の減額基準緩和や基金制度の廃止は、両論を併記する形で結論を先送りした。中小企業の資金を共同運用する案も結論が出なかった。厚労省は有識者会議が先送りした項目は今秋以降、審議会などで検討を続ける。
(以上、記事より)
ここにきて、ようやく厚生年金基金の解散に関する要件が緩和される動きが出てきました。
とはいえ基金を解散する際の積立不足分や、既に年金を受給している分・基金加入者だった加入員の将来受給する年金額を担保するための返還金減額のツケを、厚生年金保険の財源で穴埋めしようとするのは、厚生年金基金に加入していない多くの中小企業に負担を強いる事につながるわけで、これは論点が異なると感じます。
また解散基金の加入員だった人たちの年金額減額には触れていない点についても、単に既得権を確保しているだけで負担を強いるものにはなっていません。
国民年金・厚生年金も同様ですが、自分が払った・企業が積み立てた拠出金を運用上の不足額に穴埋めするのではなく、保険料や拠出金を払った分の年金額は最低限確保される仕組みにしていくべきで、払ってももらえないという認識が強くなっているのを払拭する制度にしていかない事には、何をやっても対処療法でしかないように思えてなりません。
今後の審議会での検討事項に注目したいところです。
企業年金や国民年金基金の制度のあらまし
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厚生年金基金の財政状況
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kousei/dl/01.pdf
確定拠出年金制度の概要
http://www.mhlw.go.jp/topics/bukyoku/nenkin/nenkin/kyoshutsu/gaiyou.html
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