日本経済新聞
アロハシャツOK、無地TシャツOK――。環境省はクールビズを進め大胆な「スーパークールビズ」を打ち出した。電力不足が懸念される今夏は、職場でも家庭でも大幅な節電が求められるためだ。
だが、掛け声とは裏腹に職場では戸惑いが広がり、温度差は開くばかり。会社の常識と暑さの狭間で知恵を絞る日々だ。

「真夏になれば定着するかもしれないが、今は様子見」というのは、ファイザーに勤める30代の男性。
東京の本社スタッフである男性の職場では、今夏はポロシャツ、チノパンが認められ、Tシャツも上着を着ることを条件に承認された。
選択肢は広がったが、「今のところだれも着てこない」。男性もネクタイをしめず、上着を着ない昨年並みの格好だ。

損害保険ジャパンでは全社員を対象に「節電ビズ」と銘打ち、今夏からポロシャツやチノパンも着用できるようにした。
「節電ビズ」バッジも用意したが、「お客様に接する部門はなかなか着にくいという声が多い」(同社)。
職場の基準が変わっても、周囲や相手先の心象を思うと、なかなか踏み出せないでいる。

都内の大手通信会社に勤める男性(43)の職場でも今夏は綿パンツやポロシャツを着てよいことになり、男性は半袖シャツで出勤を始めた。
だが、周囲を見渡すと、上司が出席する会議ではネクタイをしている人が目立つし、営業担当の社員は「昨年と同様に今年もネクタイをする」と言い張っている。
「暑くても相手よりきちんとした服装でいるのが礼儀と考える人が多い」とこの男性はこぼす。

経営者が率先して「スーパークールビズ」を呼びかける企業もある。
マーケティング会社のジェイアンドティプランニング(東京都渋谷区)では、市川純子社長がアロハシャツを全社員に支給しようと提案した。だが「おそろいの服装は嫌と、見事に拒否されてしまった」と苦笑する。
半袖シャツなどを勧めても、律義な男性社員はみな長袖のワイシャツを手放さない。

クールビズが政府主導で導入されたのは2005年。
内閣府の09年の調査では57%の企業が導入済みで、やっと夏の服装で一定の“合意”ができたとこ ろへ、今夏の「スーパークールビズ」が到来した。

ユニクロが5月下旬に20~40代の会社員300人にクールビズについて聞いたところ、夏の職場の室温の高さに不安という人は84%に達した。
服装を選ぶときに8割が「涼しいかどうか」を重視する一方で、「スーパークールビズ」にするかをたずねると、「例年よりカジュアルにしたいが、する予定はない」との回答が最も多かった。

「クールビズはどこまで許されるのか」と困惑し、足踏みをする職場が多いなか、職場で服装をそろえることで、一定の合意を得た企業も出てきている。
(以上、記事より)


震災の影響により様々な節電対策が検討されている中、クールビズも対策のひとつして取り上げられています。

特に、昨年並みの猛暑になるのではと心配されており、本気でスーパークールビズを導入しなければならない事態にもなりかねません。

人事労務の観点からみれば、安全衛生管理上、事業所内が一定以上の温度になるのは避けなければならず、業務場所や内容によっても一定の指針が設けられています。

「冷房温度を28度に設定しよう」と良くいわれますが、室内にはOA機器が多くあり照明機器も割合多かったりと、実際の室温は想定している以上に高くなっていたりします。

屋外で行う業務と異なり、室内での事務作業等は温度が高めでも大丈夫と思いがちですが、室内の湿度と空気の流れによっては体感温度にも影響し、仕事に集中できなくなることもあります。

室内でも熱中症となる場合もありますので、固定的に冷房設備の温度を設定するのではなく、各々の室内環境に合わせて対処する必要があります。

スーパークールビズは、人事労務の観点からすると服務規律に該当します。

スーツや制服は、誰が着ても同程度の服装との印象があるため、相手に対して不快感を与えにくいものです。(汚れが目立つなどは論外ですが)

対してクールビズとなると、私服感があり個人の趣味・志向が反映されやすくなるため、相手によって印象や受け止め方が異なってくる点が難しいのでしょう。

極点に着崩すのも問題でしょうが、お客様に失礼とネクタイをしめ汗だくでは、かえって暑苦しく感じるだけではないでしょうか。
周囲に清涼感を感じさせる服装であれば、目から涼しさを与える意味でも決して失礼ではなく、好印象「あり」ではないでしょうか。




職場における熱中症予防対策について
http://www.mhlw.go.jp/houdou/2009/06/dl/h0616-1b.pdf



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