【今回のポイント】
1.原則としては雇用関係が終了している者に懲戒処分はできない
2.不正行為により合意退職が取り消された場合は、懲戒処分も可能になる
3.退職金を不支給とするには、不支給要件や返還を定めておく
自己都合で退職した社員の不正が発覚した場合、遡って懲戒処分することはできるのでしょうか。またこのような場合も退職金を支給しなければならないのでしょうか。
まず退職後に遡って懲戒処分ができるかという点について、原則として退職し雇用関係が終了している者に対し、懲戒解雇処分の意思表示をしても無効となります。
ただし退職にあたり、不正行為が詐欺によるものであるとの事で退職が取消となったり(民法96条)、錯誤により退職が無効である(民法95条)とされるような場合には、雇用契約は存在している事となりますので、懲戒解雇は可能になります。
退職金の支給という面からは、退職金規程等に懲戒解雇時の返還規定がされている場合には、退職金を不支給とすることができます。
すでに支給した退職金は、労働者にとって不当利得(民法第703条、第704条)ですから、不当利得返還請求権に基づいて返還させることができるでしょう。この請求権は10年間で消滅となります。(民法第167条第1項)
上記のような事のないよう、退職金の支払期限を一定期間後に設定しておき、退職金支払後に支払済みの退職金を返還できるよう定めておきます。
また退職時に退職理由を曖昧にせず、明確に書面で提出させ、後日の退職者の虚偽申告を立証し易いようにしておくことも必要といえます。
なお不正行為により会社が実損害を被った場合には、当然に損害賠償請求を行うことができます。
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人事・労務の知恵袋
- ワンポイントQ&A 退職後の懲戒処分は可能か
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投稿日:2012/08/17
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