日本経済新聞
中国で働く外国人を対象にした社会保険料の徴収が年内に始まる。
北京市政府幹部は25日、年末までの加入登録を義務付けることを明らかにした。
10月15日にさかのぼって徴収する。駐在員1人当たりの負担は年80万円。
北京市の決定を受け、他の地方政府も詳細を決める見通し。
日本企業は社会保険料を国内でも支払っており、二重の負担となる。進出拠点の見直しなど対中戦略に大きな影響を与えそうだ。
外国人の加入は、中国政府が7月から導入した社会保険法の柱のひとつ。
10月15日に法令を施行したが、徴収主体が地方政府にあり、詳細も固まっていなかった。
北京市社会保険基金管理センターの呉暁軍主任が25日、日本企業対象の説明会で徴収の詳細を示した。
対象は「就業証書(ビザ)」を所有する外国人で、営業をしていない駐在員事務所も含む。
収入に対する負担率で徴収額を決めるが、基準となる収入の定義は「日本での支給分を含めた給与の合計」とした。
ただ北京市の平均収入の3倍までの収入額を基準の上限とし、それを上回る収入があっても、上限を超えた分には負担を課さない。
昨年の北京市の平均月収は4201元。
3倍の1万2603元(15万3800円)が徴収対象の上限となるため、大半の外国人の年間負担額は労使合計で約6万5000元(約80万円)となる。
北京市で対象になる日本人は1万人程度とみられる。北京市の方針決定を受けて、他の地方政府も詳細を詰める見通し。
中国で就業許可を取得している外国人は23万人余りとされ、約4分の1が日本人。最終的に6万人の日本人が負担増になる可能性がある。
日本政府は二重払い回避へ社会保障協定の締結交渉を始めた。ただ交渉妥結に1年、発効まで2年かかるとされ、この間は二重払いが続く。
(以上、記事より)
今年7月に制定施行された、中国での社会保険法。
日本とは制度も仕組みも異なるため、具体的な保険料率や保険料の徴収方法がみえていませんでしたが、ここにきて北京市から制度施行がされる事になったようです。
北京市以外でも、大連・瀋陽・上海など多くの日本企業がある地方政府で北京市に追随し詳細が決定されていくものと思われます。
日本国内でも社会保険料を徴収し、さらに中国でも保険料が徴収されるとなると、法定福利費が人件費を押し上げる事となります。
保険料を支払っていても年金協定が締結されていない場合には、年金給付に結びつかないため実質は払い損になってしまいます。
外国人に対しては自国のルールが適用される点からすれば当然の事と言ってしまえばそれまででしょう が、進出する企業からすれば他人事とは済まされません。
現時点での対応含め、今後の進出にあたっても慎重に対策を講じていく必要があるといえます。
中華人民共和国社会保険法の概要(ジェトロ)
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/law/labor_15.html
中華人民共和国社会保険法(日本語)
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/law/pdf/labor_15.pdf
中華人民共和国社会保険法(中文)
http://www.jetro.go.jp/world/asia/cn/law/pdf/labor_15_cn.pdf
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