日本人材ニュース
リクルートマネジメントソリューションズ(東京都千代田区、釘崎広光社長)の「人材マネジメント実態調査2010」によると、高業績企業は、経営戦略に応じて柔軟な雇用形態を活用し、フラット組織とボトムアップで業務を遂行していくような人材マネジメントを志向していることが分 かった。
人材マネジメントの基本的な考え方に関する16項目について2つの考え方を示し、選択する方式で聞いたところ、高業績企業群が低業績企業群に比べて多く選択した項目で選択率の差(注)が最も大きいのは、「正社員を減らして非正規社員の活用を促進する」(20.0ポイント差)であった。
次いで、「階層は極力減らしフラットな組織を目指すことが必要である」(16.7ポイント差)、「経営戦略に応じて、人材リソースを調達・調整する」(16.2ポイント差)、「ボトムアップを徹底する」(15.6ポイント差)となっている。
その他に、高業績企業群が低業績企業群に比べて多く選択し、選択率の差が10ポイント以上あったのは、「必要な人を育てる」(12.9ポイント差)、「人件費は投資」(12.8ポイント差)「人員削減は最後の手段」(12.7ポイント差)、「能力に応じて処遇する」(10.9ポイント差)となっている。
こうした傾向から、高業績企業は、事業遂行に必要な人材の採用と能力に応じた適材適所を重視し、報酬や育成のコストを投資と考えているため、投資回収の機会を失うことになる安易な人員削減には慎重な考え方をもっていることが推察される。
人材マネジメントの現状と課題について、あてはまる項目を聞いたところ、「ミドルマネジメント層の負担が過重になっている」(92.0%)、「次世代の経営を担う人材が育っていない」(81.0%)、「中堅社員が小粒化している」(75.1%)が上位に入っている。
さらに、「従業員の自発的な活動が減っている」(65.1%)、「職場ぐるみで人材育成するという風土がなくなっている」(58.3%)、「難しい仕事に挑戦する人が減っている」(57.8%)「職場の一体感が損なわれている」(53.9%)、「新人・若手社員の立ち上がりが遅くなっている」(50.5%)が5割を超えており、人材育成機能の低下が多くの企業で課題となっている。
グローバル化が進み、事業環境の変化が大きくなる中、このまま人材育成機能が低下していく傾向が続くと、経営幹部を任せることができる人材の確保に苦労する企業が増加する可能性が高い。
高業績企業群に比べて、低業績企業群が多く選択している項目のうち、「従業員の経営への信頼感が低下している」(42.2ポイント差)、「企業理念・ビジョンに沿った行動が実践されていない」(39.1ポイント差)は、選択率の差が非常に大きい。
低業績企業では、人材マネジメントを機能させるための基盤である経営陣と従業員の信頼関係が崩れてしまっている。
同調査は、2010年5月から6月に、主に従業員1000人以上の企業を対象に実施し、240社から回答を得た。有効回答率22.9%。
(以上、記事より)
業績による違いを分析したものとして注目できます。
明らかな違いとなるのは、高業績企業群では従業員と企業の信頼も高く、人材教育・活性がメインとなっている点に対し、低業績企業群では従業員との信頼関係や経営ビジョンの浸透ができてなく、人材教育・活性まで至っていないというところです。
従業員が企業の方向性を理解し主体的に動いていれば業績にも当然に連動してくるという事が、アンケート結果から伺えます。
人は育てるものではなく育つもの。
育つための素地を用意するのが企業の使命といえそうです。
人事・労務の知恵袋
- その他 高業績企業は“柔軟な雇用形態”を活用
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投稿日:2010/11/20
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