人事・労務の知恵袋

人事・労務 雇用契約と雇用契約書(契約の種類)

企業が仕事を請けて、これに対する対価を納める場面に「契約」があります。

人と人との間にも、物事を依頼され、これを受けて対価を納める場面に「契約」があります。

企業が社員を雇い、従業員が労務を提供すると、これに対して企業は賃金を支払います。ここにも「契約」があります。

「契約」とは「当事者間の申込みと承諾という二つの意思表示の合致によって成立する」ものとの事。

では「労務を提供する」という場面には、どのような契約の種類があるのでしょうか。


【雇用・労働契約】

会社の一般的な指揮命令・監督下に入り、会社が定める一定のルール従い「労働者」として労務を提供します。

これには労働基準法による制限があり、契約期間、就業場所、労働時間、休日・休暇、賃金の支払い方法、退職に関する事項など、一定の項目を必ず記載しなければいけません。

上記以外では、雇う人の地位や仕事の内容によって、会社が期待する成果や求める能力を具体的に定めたり、目標数値を定める事で、契約内容をより具体的にする必要もあります。

通常の勤務形態以外に、育児休業からの復職や休職あけの復職時など一時的に就業条件が変わるときにも雇用契約を取り交わし、双方が納得した形で働いてもらうようにします。


【委託契約・委任契約】

会社の指揮命令・監督下に入らずに、契約した内容の業務を専任して行います。

労働基準法でいうところ労働者にはならず、会社との雇用が発生しません。
つまり会社との従属的関係が認められず、受任者が自らの裁量で業務を行う=独立性で区別されます。


【請負契約】

請負契約は、請け負った仕事を完成することを約束し、仕事を注文した側が、その仕事の結果に対して報酬を支払うことを契約するものです。

委託・委任契約と同じく、労務を供給する契約の一種であるとされますが、請負契約では、請け負った仕事を完成することを目的とし、そのための手段として労務の供給がされる点で、雇用契約や委託・委任と異なるとされています。

こちらも労働基準法でいうところ労働者にはならず、会社との雇用が発生しません。


現実には、雇用している社員以外に、様々な契約を取り交わした者が働いています。

労働契約法での労働者とは「使用者の指揮・命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けている場合」とされ、「請負」や「委任」という形式をとっていても、実態として、使用者の指揮・命令のもとに働き、その報酬として賃金を受けているものは「労働者」になるとしています。

この辺りは、労働基準法での労働者の定義とは異なりますので、いわゆる「偽装請負」と疑われるような仕事の仕方や取り扱いに注意する必要があります。

次回は、雇用契約書の中身について。


労働契約法のポイント
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/080218-1a.pdf


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投稿日:2012/03/27
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