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人事・労務 過労自殺が過去最多の66人、労災認定も57%増

5月16日 毎日新聞より

長時間労働や仕事のストレスなど過労が原因の自殺(未遂を含む)で2006年度に労災認定を受けた人が前年度比57.1%増と急増し、過去最多の66人に上ることが16日、厚生労働省のまとめで分かりました。

うつ病など精神疾患が認定された人も前年度比61.4%増の205人で過去最多。
働き方の見直しが言われる中、労働者を取り巻く長時間労働が一向に改善されない状況が改めて浮き彫りになりました。

同省によると、過労自殺が認定された66人では50代が21人で最多、30代が19人、40代12人。
うつ病など精神疾患の認定を受けた205人の内訳は30代が83人と際だって多く、次いで20代が38人、40代36人、50代33人。20、30代で約6割を占めています。

職種では、専門技術職60人・事務職34人・技能職33人など。請求数の819人も過去最多でした。

過労で脳出血や心筋梗塞(こうそく)などを発症した「脳、心疾患」の認定者355人(うち死亡147人)も過去最多となっており、50代が最多の141人、次いで40代104人、30代64人。ここでも30代が目立って増えた結果となっています。

職種では運輸・通信職が最も多く、残業時間では月80~100時間未満が最多の116人。120時間未満は101人で、前年度より大幅に増えており、長時間労働がより過酷になっていることが分かります。

厚生労働省は「ノルマ達成など過大な仕事を求められる厳しい労働環境が、長時間労働につながっているのでは」と分析しているようです。

労働相談などを実施している日本労働弁護団の事務局次長、棗(なつめ)一郎弁護士によると「若年労働者から、うつ病など心の問題の相談が増えている。今回の結果には、それが反映されている。長時間労働やリストラなどで雇用不安のストレスが高まっている。長時間労働の削減や安定雇用対策に取り組まない限り、過労労災を減らすことはできない」との事。
(以上、記事より)


自殺大国といわれる日本で、労働者の自殺が過去最多となったという事実は、長時間労働などの厳しい労働環境をどう捉えるべきかとの問いを企業に投げかけているように感じます。

たとえ同じ環境であったとしても精神疾患に追い込まれる事なく困難を乗り切っていく方もいる一方で、精神疾患に追い込まれてしまう方もいるわけですから、とてもセンシティブな問題であるという側面を考えなくてはなりません。

特定の職種と一定時間以上の長時間労働が原因で労災が多く発生している事から、特定者への業務負荷をどうやって減らすのか、就業環境を少しでも良くするために具体的に検討する必要があるようです。

投稿日:2007/05/16
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