5月12日 毎日新聞より
派遣で働く労働者の労働災害事故が急増していることが、東京都内の派遣業者を対象とした東京労働局の2006年の調査で明らかになりました。前年に比べ5割近い増加となっているとの事。
急増の背景には、日々派遣先が変わる「日雇い派遣」が増え、仕事に不慣れなことがあると見られ、派遣労働者の労災実態が明らかになるのは初めてです。
東京労働局は、労働者派遣法の改正で製造業などへ派遣の範囲が拡大されたことを受けて、2005年から派遣労働者の労災状況(死亡、けが)の調査を始め、全国に労働者を派遣している都内に本社を置く派遣事業者の報告件数などをまとめました。
報告によると、2006年の同局管轄の死亡災害は99人(前年比15人増)で、けがは1万78人(同169人増)。
このうち派遣労働者の死亡災害は2人(前年ゼロ)、けがは401人(同268人)となり、49.6%増となっています。
業種別では倉庫・運輸が150人▽製造82人▽事務51人――などで、倉庫・運輸と製造で全体の58%を占めました。
また年齢別では30代が123人で最も多く、20代が109人。
20歳未満の7人を加えると若年の被災者が全体の6割にのぼっています。
被災者のうち仕事の経験が1年未満の労働者が6割でした。
死亡した労災は、造園事業に派遣され、マンションの樹木の剪定(せんてい)作業中にはしごからコンクリートの路上に落下したケースと、事務職の派遣で外階段を移動中に突風を受けて転落したケース。
けがでは機械に挟まれたり転落などが多く、1カ月以上の休業が必要な人は142人となっています。
荷物を持ち上げる際に腰を痛める、プレス作業中に左手を挟まれるなど経験と安全教育が不足しているのが目立ちました。
同局では「正社員に比べ安全教育がおろそかになりがちで、注意を呼びかけたい」とのこと。
派遣労働者の労組「派遣ユニオン」の関根秀一郎書記長は「日々違う現場に派遣される日雇い派遣の増加と軌を一にするように労災の相談も急増している。解体片づけ現場でのクギの踏み抜きなどのけがは日常茶飯事で安全教育の欠落を感じていたが、数字的にも裏付けられた。派遣業者が安全衛生教育の脆弱(ぜいじゃく)さを何とかしない限り派遣労働者の被災は増え続けるだろう」と話しています。
(以上、記事より)
派遣労働者の労災事故を調査した結果というのは今までありませんでしたので、実態が把握できる報告だと思います。
特に日払い派遣の労働実態が浮き彫りになっており、社会保険加入の問題とも合わせて、今後日払い派遣労働者の扱いを法的な面からどのように対応していくべきかの提起になっているともいえるでしょう。
人事・労務の知恵袋
- 人事・労務 派遣労働者の労災事故が急増
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投稿日:2007/05/13
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