5月9日 朝日新聞より
上司に「ばかやろう」と暴言を吐いたなどの理由で解雇された日系ブラジル人のダ・ローシャ・アントニオ・マルコスさん(35)=愛知県豊橋市=が、解雇は労働組合の活動への圧力だなどとして、浜松市の人材派遣会社「ラポール・サービス」を相手取り、解雇無効の確認と、解雇日以降の月額35万5000円の支払いを求めた訴訟の判決が9日、名古屋地裁でありました。
多見谷寿郎裁判官は「解雇は権利の乱用に当たる」とし、同社に解雇無効と、判決確定まで請求通りの月額賃金の支払いを命じました。
判決によると、マルコスさんは2006年6月、従業員の有給休暇の申請方法をめぐり、同社役員に「ばかやろう」と発言し、同年7月9日で解雇されたとの事。
会社側は解雇理由を「職場の秩序を乱した上、その後の勤務態度も著しく不良」などとしたが、多見谷裁判官は「発言は一回限りで、客観的に合理的な解雇理由とはいえない」とした。
マルコスさんは閉廷後、会見し「不当解雇問題のいい見本となる判決。全国の労働者にあきらめないよう伝えたい」と話しています。
同地裁はこれまでに、マルコスさんが地位確認などを求めた仮処分申請に対し、解雇無効と月額賃金の支払いを命じる決定を出しています。
(以上、記事より)
「ばかやろう」と発言した詳しい経緯は記事から読み取れませんが、発言した従業員のとった行動が単発的なものと解釈され、会社側の解雇は行き過ぎだとの事。
ここに至るまでには様々な経緯があっての事だと推察されますが、地位確認の仮処分申請も認められている事から、会社側の行動に行き過ぎたところがあったのでしょう。
最近は、会社側が懲戒処分を積極的に活用するケースが増えてきているともいわれています。
従業員が取った行動が明らかに違法性があったり、違法性がなくとも客観的にみても職場秩序への影響が大きいと判断される場合には、正当な懲戒処分がなされるべきと考えます。
就業規則に明記されていたとしても、個々のケースによって全ての処分が該当できるわけではありませんので、労務問題が起きた場合、起きそうな場合には、日頃からその原因と経緯を把握できるようにし、事が大きくなる前に十分に話し合いをもって対処するのが実はとても大事な事なのではないかと感じています。
人事・労務の知恵袋
- 人事・労務 上司に「ばかやろう」は解雇理由にあたらず
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投稿日:2007/05/10
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