【今回のポイント】
1.社員が行方不明の場合は、すぐに解雇はできない。
2.明らかに本人の退職の意思表示があれば退職とすることも可能。
3.就業規則に行方不明の場合は自然退職とする規定を設ける。
何日も無断欠勤が続いており、連絡も取れない場合は、すぐに解雇できそうに思えます。
しかし結論からいえば、すぐには解雇にできません。
解雇が有効とされるには、社員に解雇の意思が到達しなければならないこととなっています。
もし社員が行方不明になっていて無断欠勤あるとすれば、例えば解雇予告通知書が社員の自宅に配達されたとしても、そのことについて本人は知ることができません。
このような場合は、民法97条第2項に定めがある「公示」の方法を取ることとなりま
す。
【公示送達の方法】
1.社員の住所地を管轄する裁判所に、タイムカードや訪問記録など、社員が行方不明であることの資料を添えて社員の解雇についての公示送達の申し出を行う。
2.裁判所が会社に対し、公示送達の許可をし、裁判所の掲示板にその旨を掲示する。
3.裁判所が会社に対し、公示送達があることを、官報や新聞掲載、市町村役場などの場所に対して掲示するように命令を出す。
4.会社は、官報や新聞、市町村役場などに解雇の意思表示を掲載する。
5.掲載から2週間経過=解雇の意思表示が社員に対して到達したとみなす。
この場合、公示をしてから2週間を経過した日に解雇予告をしたこととなるため、実際に解雇できるのは、さらに30日後となります。
万が一、行方不明となっている社員にこのような手間と時間を掛けるのは無駄であり、合わせて公示送達手続きは官報や新聞などに会社名が掲載されることにもなります。
会社に何の連絡もなく無断欠勤が続いている社員からの「退職」という黙示の意思表示を受け取ることが可能であれば、公示送達など面倒な手続きを取ることなく、退職として処理することも可能です。
この場合は、社員の過去の勤務状況やその後の連絡状況、期間などを総合的に考慮して、明らかに退職する意思表示があったという客観的な状況がわかる必要があります。
このような煩雑な手続きを行う事なく、社員が一定期間無断欠勤をした場合には退職扱いとなる事を、あらかじめ就業規則に規定しておくことが有効といえます。
就業規則の退職事由規定例
「会社に何の連絡もなく30日を経過し、会社が本人の所在を知らないとき」
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