人事・労務の知恵袋

ワンポイントQ&A 人材紹介会社を通して採用した社員を異動させるとき

【今回のポイント】

1.会社の権利濫用とならないためには合理的理由が必要

2.雇用条件により異動理由が合理的とならない場合もある

3.配置転換による職種変更で給与額にも影響がある場合は、給与の性質に注意が必要



人材紹介経由で職種限定で採用した社員を、会社の都合で採用職種と全く異なる部門へ配転させる際には、本人の同意が必要となる場合もあります。

就業規則に配置転換に関する規定があっても、使用者が労働者を配置転換できるのは合理的な範囲内での配置転換とされ、この合理的な範囲を超える場合には、労働者の同意を得なければならないとされます。

例えば、地方出店した店舗での採用で業務内容について限定されているような場合は、配置転換変更について労働者の同意を得る必要があります。

限定的な労働契約が結ばれているわけでなく、就業規則に規定されている配置転換が適用されるとしても、一定程度は労働者の利益に配慮して行うべきであるとされ、配置転換の理由や必要性について、労働者に十分に説明をし、配転命令から異動日までの期間に猶予を設けるなどの必要はあるでしょう。
労働組合がある場合は、労働協約により事前に労働組合と協議が必要な場合もあります。

また配置転換により職種が変更される場合、給与額の変更を伴うことがあります。

給与額の決定要素が属人的なものとなっている場合(=勤続年数や年齢により決定)、給与額と職種との関連性が薄いため、職種変更に伴い給与額を減額するのは、会社側の権利濫用と判断される可能性が高まります。

給与減額を目的として意図的に職種を変更したり、専門的な能力を有する労働者を元の能力とは全く関係のない部署へ異動させたりする場合も、会社側に配置転換に関する配慮措置がないとされ、権利濫用と判断される可能性が高いといえます。



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投稿日:2012/03/02
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