日本経済新聞
東大社会科学研究所は27日、請負派遣社員の働き方に関する調査結果をまとめた。
政府が10月召集の臨時国会への提出を目指す労働者派遣法改正案について、派遣社員の55.3%が「反対」と答えた一方、「賛成」は13.5%にとどまった。
派遣規制を強化すると働き先を失いかねないという派遣社員の不安心理を映した結果とみられる。
調査は請負・派遣社員4千人を対象に8月に実施し、56.9%から回答を得た。
労働者派遣法改正案は、仕事があるときだけ働く「登録型派遣」や製造業派遣の原則禁止などが柱。
調査によると、反対理由のうち「禁止しても正社員の雇用機会は増えない」が69.5%とトップ。「派遣で働けなくなる」が65.9%と続いた。
賛成理由のトップは「派遣は雇用が不安定」で83.2%を占めた。
同案が施行された場合に失業する可能性があるか、との問いには79.1%が「ある」と回答。
同研究所は「派遣禁止が失業リスクを高めると考える派遣社員が多い」と分析している。
(以上、記事より)
今回の改正案では、専門26業務といわれる職種以外の一般派遣が原則禁止とされ、製造業務派遣も常用雇用以外は原則禁止とされています。
企業のコスト調整に利用されているという面が強調され、派遣労働者の雇用安定が改正の主目的とされていますが、正社員雇用以外の働き方を求めて派遣社員として働いている方もいるわけで、これらを正社員雇用と同等の扱いに近づけていこうとするのは、多様な働き方の機会を損なっているという面もあるといえます。
一方で、派遣社員は原則有期雇用である以上、常に雇用不安があるというのも事実。
企業側が積極的に正社員雇用を増やしていけない状況が続いている中、派遣社員としての雇用機会をなくしてしまう事が、果たして本当の意味で雇用安定につながっていくのか、今回の改正案には疑問を感じずにはいられません。
請負社員・派遣社員の働き方とキャリアに関するアンケート調査結果概要(東京大学社会科学研究所)
http://web.iss.u-tokyo.ac.jp/jinzai/%E8%AA%BF%E6%9F%BB%E7%B5%90%E6%9E%9C%E9%80%9F%E5%A0%B1_20100927.pdf
人事・労務の知恵袋
- 雇用・定年 派遣社員、政府の規制強化に5割超が「反対」
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投稿日:2010/09/28
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