日本経済新聞
添乗員に「事業場外みなし労働制」は適用されないとして、派遣添乗員の豊田裕子さん(54)が阪急トラベルサポート(HTS、大阪市)に未払い残業代など計約112万円の支払いを求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁は14日、全額を認めた一審判決を変更し、約102万円に減額した。
制度は労働基準法で定められており、会社の指揮・監督が及ばず、労働時間の算定が困難な場合に一定時間働いたとみなされるが、判決は一審同様に適用を否定した。
添乗業務をめぐる同種の訴訟は、一審の結論が分かれており、高裁段階での初判断。
福田剛久裁判長は「旅行行程の指示書や、添乗員が出発や到着時刻などを詳細に記載した日報があり、添乗は労働時間を算定し難い業務に当たらない」とし、記録が残っていない一部のツアーを除く未払い残業代を約51万円と算定。
労基法が制裁的な意味合いで規定している同額の「付加金」も一審に続き認めた。
(以上、記事より)
【事業場外のみなし労働時間制】
営業職のように事業場外で業務に従事している場合は、使用者の直接の指揮監督下にないため労働時間の把握が難しくなります。
労働基準法では、このような場合に対処するため、「事業場外労働のみなし労働時間制」を設けています(労働基準法第38条の2)。
この制度は、労働者が労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合において、労働時間を算定することが困難なときは、原則として「所定労働時間労働したものとみなす」というものです。
つまり、実際に働いた時間にかかわらず、就業規則等において定められた時間(所定労働時間)を労働時間として算定するというものです。
上記にもある通り、(1)労働者が労働時間の全部又は一部を事業場外で労働した場合で、(2)使用者の指揮監督が及ばず、労働時間を算定することが困難なときな状況にあるのかどうかが、判断の分かれ目になります。
判決では、旅行行程の指示書など詳細な日報があり労働時間の算定が可能としています。
高裁段階での初の判断となり、今後、同様の事案についての判断にも影響がありそうです。
事業場外のみなし労働時間制の採用が多い「営業職」についても同様の判断が必要とされますので、単に営業職だから、外勤だからというだけで、このみなし労働時間制を導入する事はできません。
携帯電話で業務報告や指示がされている場合には、労働時間管理がされているものとなります。
この制度は、あくまでも「事業場外」での労働時間に対するものですので、社内での労働時間は別に管理されます。
つまり、事業場外+事業場内での労働時間を合わせて1日の労働時間としますので、事業場外のみなし労働時間とする時間をどの程度とするのかも注意が必要です。
この制度を導入する場合には、業務指示・報告ができない状況にあるのか、事業場外と社内での業務の割合はどの程度かを検討しなくてはいけません。
労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準
http://www.mhlw.go.jp/new-info/kobetu/roudou/gyousei/kantoku/dl/070614-2.pdf
事業場外労働のみなし労働時間制(第38条の2)
http://goo.gl/6wSxH
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